“There is No Year” by Blake Butler(その2・Twitterまとめ)
下記は2012年4月15日・16日につぶやいたもののまとめ。
アメリカ文学の暗黒の新星Blake Butlerの長編There Is No Yearをけさ読み終わる。三人家族が新しい館にひっこしてきたら奇妙なことが頻発するという話で、ホラーっぽいが筋も解決の手がかりもなにもない。暗黒の不条理小説。
posted at 23:32:31
登場人物の感情はほとんど見せず、起こったことがただ記述される。悪夢的シチュエーションの数々の列記は、淡々としていてどこか聖書を思いださせる。 タイポグラフィに近いフォント遊びや、電子書籍の機能をつかい、作中人物の未来視を読者に擬似体験させる実験小説風のしかけも有。
posted at 23:47:12
【There Is No Year・1】ある作家を別の作家に例えるのは傲慢だし、えてして的外れに終わる。が、Blake Butlerについては「福永信が訳した牧野修か吉村萬壱」という比喩が頭を離れない。
posted at 09:06:37
【There Is No Year・2】この小説は三人称による父・母・子(名前も出てこない)の行動と反応で主に成り立っている。時々だれも気づかないところで起こった出来事も語られる。人々の心中はほとんど記述されず、世界は虫や病や腐敗に満ちている。
posted at 09:10:08
【There Is No Year・3終】筋らしきものはない。子が友達の家につけないとか、通勤がどんどん長く困難になる父とかは分かりやすく悪夢的なエピソード。終盤、黙示録的な異常が連続するシーンに「MS WORDが上書き保存できず、常に名前を新しくつけるしかない」という文がw
posted at 09:20:47
4/17
【追伸】 Blake Butlerは最新作Anatomy Coursesではさらに極まって、もう「主人公の性別は最後まで不明」「性的な行為っぽい描写が度々あるが、くんずほぐれつしていること以外、何がどうなっているか定かではない」レベルに達しているらしい。
posted at 23:04:25
- 作者: Blake Butler
- 出版社/メーカー: Harper Perennial
- 発売日: 2011/04/05
- メディア: ペーパーバック
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